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エッセイ

ワイワイたすけ合い 「3.生きる姿がひのきしん」 その2

3.生きる姿がひのきしん 

骨髄バンクや献血に協力しよう

私の骨髄提供体験

 時はさらにまた流れ、ドナー登録10年後の私に、骨髄提供をさせて頂く日が来ました。ところで白血病というのは、骨髄移植さえすれば必ず治る、というわけではないのです。骨髄を頂かれる人は、頂いた骨髄が自分のものとして生着(せいちゃく)する前に、GVHD(移植片対宿主病 いしょくへんたいしゅくしゅびょう)という、他人の組織と自分のからだが闘ってしまう状況を、乗り越えなくてはなりません。その程度は人によって違いますが、発熱、全身湿疹、消化管出血、感染症と、時に命を懸けた闘いになることもあります。

 私は私の骨髄が、相手の方に重いGVHDを引き起こさずに、生着してくれるように祈りました。どうすればよい骨髄を提供できるのか、根拠はありませんが、せめてもの心づくしに、提供する3ヵ月前から、禁煙・禁酒・バランスの良い食事、早寝早起き、適度な運動を、自分に自主的に課すことにしました。そして何より「人様に合わす心づくり」に励みました。元来、高慢なところのある私にとって、「人様に合わさせて頂く」3ヵ月は、けっこう修行になりました。できるだけいつも真綿のような優しい心でいることを目指しているのですが、何かで人と摩擦を生じそうになると、私の「骨髄きょうだい」が苦しむ姿が目に浮かび、反省して、素直な心と骨髄作りに励むのでした。

 また、苦しい治療を受けて、私の骨髄を待っている人に、キャンセルの憂(う)き目を味わわせないよう、私自身の、交通事故に気をつけ、雪道での転倒に気をつけ、風邪を引かないように、なおかつ日常の仕事もきちんとこなす生活を目指しました。冬の最中(さなか)、責任の重い孤独な、自分との闘いでした。

 入院中は、面会も付き添いもなく、全身麻酔から醒(さ)めてみるとコーディネーターの人が手を握っていてくれました。また段ボール箱一杯の仕事の荷物を持ち込み、眠っている時以外はレポートを読み続けたものでした。退院後も、復調するのに、私は1ヵ月かかりました。私なりに一生懸命な骨髄提供でしたが、私は私の「骨髄きょうだい」が、今どうされているのか、生きておられるのかさえ知りません。また、自分では精一杯良いことをしたと思っていることでも、周囲に心配や迷惑を掛けていたり、ましてや、褒(ほ)められるとは限らないこともあります。「独りよがりの悲哀」のようなものを感じる時もあります。それでも周囲の人に支えられて、自分が正しいと思うことを実行させて頂けて、本当に良かったと思っていますし、冒頭の彼をはじめ、多くの患者さんに、少しは恩返しできたかなと喜んでいます。

 

生きる姿がひのきしん

「第22回女子青年大会」の記念行事のお話で、本部員の松田元雄先生は、「口で言うほど簡単ではないのでありますが、私は常々、生きていること自体がひのきしんとなれるような、歩いておること自体がにをいがけになるような人間になりたい、とこう思っております。」(『みちのだい』第141号)とおっしゃいました。

 私は、このお話は、「『さあこれから、ひのきしんをさせて頂きましょう』という数時間だけではなく、朝から晩まで、生かされている喜びを体現する生き方を目指そう」ということだと受け止め、「生きる姿がひのきしん、歩く姿がにをいがけ」と心に刻んだのですが、今思えば、寝ても覚めても、よい骨髄の提供のことを考えていた3ヵ月間の生活は、「生きる姿がひのきしん」に、ほんの少し、近づけた生活だったとも思います。

 自分が今生きていることが、実は、当たり前ではなく、ありがたいことと思えること、ありがたさを、何かのかたちで表現できること、その表現結果が、誰かの喜びやたすかりにつながること、そしてそれが広がることを、幸せとか陽気ぐらし※というのかもしれません。

 ひのきしんのかたちは人様々ですから、自分らしいことをされるのが一番良いと思います。もしも皆さんの中に、この話を読まれて、献血や骨髄提供活動にも協力したいと思われる方がいらっしゃったら、とても嬉しいです。

 

※陽気ぐらし

 晴れやかな喜びに包まれ、楽しみづくめの暮らしを言い、「陽気ぐらし」こそ、私達の究極の目的です。親神様によって生かされていることのありがたさ、かしもの・かりものの理の尊さを知り、互いに立て合いたすけあって、他の人々と共に喜び、共に楽しむところに現れます。その姿を見て、親神様も共に楽しんで下され、神も人も一つの結び合う真の「陽気ぐらし」の世界があるのです。どんな境遇にあっても、明るく勇んだ陽気な心で日々を通れるならば、それが真の幸福と言えます。

(草場直子 2006年8月発行『ウィズ・ユゥ』vol.17 より)

ワイワイたすけ合い「4.親が子となり子が親となり 認知症泣き笑い」へつづく

ワイワイたすけ合い「3.生きる姿がひのきしん」その1はこちら

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