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エッセイ

ワイワイたすけ合い 「2.かしものかりもの からだは心の最高の相棒」(1)

2.かしものかりもの

からだは心の最高の相棒

(1)ジキル博士とハイド氏

 

 スチーブンソンの『ジキル博士とハイド氏』という小説があります。善良な紳士ジキル博士が、発明した薬を飲むことにより、自分の醜悪な面を凝縮した、悪人ハイド氏に変身するというお話です。その変身シーンともいえるような情景を、私はかつて大学病院の救急部で見たことがあります。

  それは立派な紳士が交通事故に遭われ、意識不明で運び込まれてきた時のことでした。幸い、CT検査等で頭に異常がなく、足の骨折と内臓打撲だけでした。ところが、その人が意識を取り戻すにしたがって、ご家族も聞いたことがないような罵詈雑言(ばりぞうごん)を周囲に浴びせるようになったのです。それどころか、傍によれば、殴る、唾を吐く、水枕を投げつけるという行動が数日間続いたのです。頭の打ち所でも悪かったのか、と周りが悩んでいたある日、主治医がその人の血液データをしみじみ見ていて、ある微量の元素の値が正常値からほんの少しずれているのを見つけて、点滴の中身を少し替えてその補正をしたのです。するとその日を境に、患者さんの様子が穏やかに理性的になっていったのです。あたかもハイド氏からジキル博士への変身を目(ま)の当たりにしたような感じで、最後は「お世話になりました」と別人のようになり、転院していかれました。

 主治医は「治療は複合的に行われているので、微量元素の補正だけが精神状態の安定に効果があったとは言い切れないが、からだを少しでもよい状態へ持っていくことは回復のために大切だ」と言い、微量元素の乱れの原因を聞くと「点滴を沢山したことで偏ってしまったのかもしれないし、事故によるからだのストレス反応で起こったのかもしれないし、元々事故前のハードな生活等で引き起こされていたのかもしれない」と言っていました。

 その時新米看護師だった私は、「もしも、こんな小さな乱れが人を豹変させてしまうなら、自分のからだに摂取するものは慎重に選ばないといけない」と、つくづく思ったのでした。皆さんも、酔っ払ったり、疲れていたり、頭痛や空腹や便秘の時は、優しく冷静な「よい自分」でいるのがむずかしいという経験がありませんか? もしかすると、いつも心穏やかで理性的な判断ができる人は、からだの中のバランスが取れている人なのかもしれず、訳もなくイライラしたり落ち込みやすくなる人は、からだの調子がそうさせているのかもしれません。自分がハイド氏に変身しないように体調には気をつけましょう。

 

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